[ この記事で分かること ]
発音矯正の基本的な考え方
発音の仕組みが分かる4つの要素について
[ 目次 ]
この記事では、英語の発音矯正のプロの視点から、正しい発音方法とトレーニングの重要性についての基本的な考え方について解説します。演奏に例えると、口=楽器。楽器の使い方・音の鳴らし方を知らなければ美しい音は出せません。発音で言えば、楽器=4つの要素(歯の位置、唇の形、舌のポジション、息・声の使い方)に置き換えることができます。これらの要素がどのように関係するのか、どうすれば英語の発音ができるようになるのかを紹介します。
1. 【発音=楽器の演奏】これが発音の基本
1-1. はじめに
私(筆者)はバイオリンを弾いたことがありません。
ですが、私はバイオリンが弾けないという自負(?)があります。
それはなぜかと言えば、バイオリンから音が鳴る"仕組み"を知らないからです。
そのまま弓で弦を擦ってみて「キコキコ」と音を出すことはかろうじてできるかもしれませんが、
他人からすればきっと、耳が痛くなるような不快な音に捉えられてしまうでしょう。
私がその状態で情○大陸の"あの曲"を演奏してみようものなら、
「なんか雑音がうるさいんですけど…」と隣人から苦情がきそうなものです。
バイオリンの演奏をしたければ、
①バイオリンからきれいな音が鳴る仕組み(構え方・弓の持ち方・指運び等々…)を理解し、
②正しい演奏方法を覚え、
③たくさん練習する ことが必要です。
もちろん、見よう見まねでもある程度の『音』は出るでしょう。
しかし正しい方法で弾かなければ『美しい音』にはなりません。
『美しい音』、そして『正確な音階・リズム』で演奏しなければ他の人にはそれが『曲』だとは理解してもらえないのです。
1-2. 発音=演奏。感覚だけで演奏は出来ない
もう少し身近な楽器で例えてみましょう。
誰もが小学校の音楽の時間に習った、リコーダーです。
リコーダーは、指で穴(音孔・トーンホールというらしいです)をしっかりと押さえ、
弱すぎず強すぎない適切な量の息を吹き込めば簡単にきれいな音が出せます。
指の押さえ方を覚えれば、曲を奏でることができ、友だちと合わせて合奏を楽しむこともできます。
子どもの頃からおもちゃの笛などに触れていたりすると、
意外と感覚的にできてしまい、その仕組みを深く考えたことが無い方も多いと思います。
例えばですが、あなたが人生で初めて「笛」というものに出会ったとします。
持ち方は?向きは?"弾く"のか"吹く"のか?"吹く"ならどこから?どのくらいの力量で?音階はどう変える?…
笛を演奏しようと思ったら、恐らくこのような疑問が出てくるのではないでしょうか。
『発音』もこれと同じなのです。
幼いころから自然と日本語を身に着けるので、「口から音が出る仕組み」「日本語の音を発音する方法」を理解していない人は結構多いです。
そして、「日本語」と「英語」ではそもそもの楽器の使い方が異なります。
正確な英語発音には、
①口から音が出る仕組みを理解し、
②正しい演奏方法=発音方法を覚え、
③たくさん練習する ことが必要なのです。
2. 発音矯正で最初に教える【4つの要素】
2-1. 発音に必要な要素について
さて、本題に入ります。
楽器は正しい方法で演奏すれば『正確な音』が出て曲を奏でることができます。
発音も同じです。
口=楽器を正しく扱えれば『正確な英語の音』を発音できるようになります。
では英語の発音をするための”仕組み”とは何でしょうか。
私たち英語発音矯正塾では、『発音』するためには4つの要素があると定義しています。
<発音の4つの要素>
1. 歯の位置
2. 唇の形
3. 舌のポジション
4. 息・声の使い方
この、1.歯の位置、2.唇の形、3.舌のポジション、を順に整えることで理想の口の形(楽器)を作り、
最後に4.息・声を送り込んで音を鳴らせば『発音』できます。
口という楽器を上手く鳴らすことができるようになれば、
日本語でも英語でも、どんな言語でも発音できるようになるのです。
2-2. 具体例:「TH」の発音における4つの要素
ここで「TH」の発音の例を見ていきましょう。
これは日本語に無い音なので日本人にとっては難易度の高い発音ですが、
"Thank you."や"I think..."、"this"など普段の会話でもよく登場しますね。
この一音が通じるようになるだけでも、かなりストレス軽減につながるのではないでしょうか。
THの発音方法について、「前歯で舌を挟んで発音しましょう」と教わった人も多いと思います。
でもこれは、4つの要素で言うところの1.歯の位置、3.舌のポジションにしか触れておらず、
実はとても曖昧な指導内容なのです。
「前歯で舌を挟む」と言っても、
・上の歯と下の歯はどの位置で?
・唇はどれくらい開く?
・舌はどれくらい挟む?
・舌の形は?
・息・声はどのくらいの強さで? etc...
これだけのことが関わってきます。
そして、一つでも要素が不足すれば「美しいTHの音」は出せません。
THの発音方法を図解するとこのようになります。
リコーダーでどの穴をふさげば「ド」の音が出るか決まっているように、
「TH」の音を出すための歯の開き具合や位置、舌の挟み具合や歯に触れる場所、息の出し方があります。
今回はTHのみを例にあげましたが、全ての英語の音に同じように発音の仕方が存在します。
いきなり全てを覚えるのは難しいかもしれませんが、
自分が普段(日本語でも英語でも)発音をする際に、
歯・唇・舌がどうなっているか、息や声はどのくらいの量・圧で話しているかを気にしてみてください。
口の中がどうなっているかを知るだけでも大きな気づきになるかと思います。
3. まとめ
3-1. 日本での発音指導の現状について
ここまで楽器=口から音が出る仕組みである、4つの要素を説明してきました。
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<発音の4つの要素>
1. 歯の位置
2. 唇の形
3. 舌のポジション
4. 息・声の使い方
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先述のTHの例で見ても分かる通り、本来英語の発音はこれだけの解説がなければ紐解けません。
突然ですが、
あなたが日本語講師だったとして、日本語の「ら」の音を外国の方に教えなければいけないとします。
(「ら」は英語には無い音なので英語圏の方には「D」など別の音に間違えられてしまうことが多い音です)
あなたは「ら」の発音を4つの要素に分解し、しっかり説明できますか? 恐らく「できる」と自信をもって答えられる方は少ないと思います。
意識することなく発音している音は特に、正確に説明することは難しいのです。
同様に、英語ネイティブで育った方は自然と英語の発音を覚えてきたので感覚で発音していることが多く、
実は理論的に理解し説明できる人材とはあまり出会えません。
『自分が発音できる』ことと『教えることができる』というのはイコールではないのです。
結果、生徒は「Repeat after me.」方式で、ひたすら真似をして自力で探り当てるしかなく、
感覚で覚えたものは再現性が低く応用があまりできないので、発音力全体の向上が遅れてしまうのです。
3-2. 発音トレーニングは筋トレ
楽器の扱い方(=4つの要素のどこをどう調整すればどんな音が出るか)
さえ理解し体得できれば、自在に発音を操れるようになります。
一方で、楽器の扱い方を「知っている」だけではもちろん演奏は出来ません。
立派に演奏できるようになるまでにはそれ相応の練習が必要です。
また、発音トレーニングは筋トレに似ています。
筋トレをする際には、どこを鍛えたいのか、自分はどこに筋肉がつきやすいのかなどまずは現状把握が重要です。
発音トレーニングでも同じことが言えます。
4つの要素には歯の嚙み合わせや舌の長さ・厚み、表情筋の柔らかさ、肺活量(腹式呼吸)などが関係してきます。
まずは自分の骨格や筋力レベルを把握し、各要素を使いこなすために必要な筋力や柔軟性を身につけましょう。
ここまで説明させていただいた内容については、
英語に限らず、初めて学ぶ言語でも共通して言えることですので、言語学習者は是非意識してみてください。
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一口にトレーニングと言っても、
適切なトレーニングを的確に行わなければ効率良く発音を身につけることはできません。
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